私が匿名質問サービスをやめた理由
突然ですが、私はTwitterによくある「匿名で質問できる・質問を受けるサービス」を使っていません。
正確に言うと、一瞬使いましたけどすぐにやめました。
その理由を誰からも求められていないけど書いていきます。
この記事では「匿名で演奏に関するアドバイスを求められた時」を想定しています。
結論から言うと、以下の3つの理由のためです。
1. 質問した人のバックグラウンドが見えない
2. 「見えない人」を意識しなければいけない
3. フィードバックが確認できない
1. 質問した人のバックグラウンドが見えない
質問に答えるためには、まず第一に「その人が何をどれだけ知っているか」を把握する必要があります。
そのために「その人が今までどんな経験を得てきたか」が大事になります。
例えばブラスバンドの演奏に関する質問だと、パッと思い浮かんだだけでも
・その人がブラスバンド経験があるかないか
・イギリスのバンドの音を(CDでもいいから)聴いた事があるかないか
・他の演奏形態(吹奏楽など)をどれだけ経験してきたか
・その人が演奏するバンドはどんな音がするのか
・その人がどの楽器を得意とするか
・そもそもどれだけ演奏できるのか
などなど、色々な要素を把握しながら「ここまでは説明しなくても大丈夫だな」とか「ここは説明しても効果が薄いな」を考えながら答えます。
匿名質問だと、これらが全くわかりません。
しかもあの質問サービスは「一個の質問につき一回の回答」なので、上記の質問を質問者にまず聞いてから、と言うこともできません。
なので結局「前提条件がわからないので詳しく答えられませんけど、一般論で言うとこんな感じです」と言うだけになりがちです。
2. 「見えない人」を意識しなければいけない
これは上記の1と被るところがあり、結局「質問した人が見えない」ところに原因があります。
上記のように質問に答えるためには前提条件を把握する必要があります。
前提条件のタイプは、下記の3つを例えとします。
A=吹奏楽を長年やってきたけど、ブラスバンドは初めて
B=ブラスバンド経験は何回か。だけどイギリスのバンドの音はあまり聴いた事がない
C=ブラスバンドガチ勢。何年もやってるし、イギリスのバンドの音も好き
演奏に関するアドバイスを求められた時、そしてどう言う答えを書こうかと考えた時、上記の3つの人を全て意識しなきゃいけないんです。
例えば質問者はCの人なのに、こちらはAの人に説明するようなことも「書いたほうがいいかな」と考えなきゃいけない。
こう言う質問者とは違うタイプの人も意識しなければいけず、質問者が誰かわかっている時と比べると労力が非常にかかるのです。
3. フィードバックが確認できない
一番の理由がこれ。
質問を受けた以上、特に演奏に関することに適当な答えを返すわけにはいけません。
正直、教える側の立場からすれば「自分のアドバイスがどれだけ役に立ったか」を知らなければいけません。
大して役に立たなかったなら、つまりアドバイスをした後、それを受けた人が全く変わらなかったら自分のアドバイスの仕方やポイントが間違っていたことになります。
そうしたら「じゃあ今度はこう言うふうに教えてみよう」と考える事ができます。
役に立ったらもちろん非常に嬉しいし、「こういう教え方が一つの正解なんだな」とわかります。
さて、匿名サービスは上に書いたように「一個の質問につき一回の回答」なので、質問を返してもその人が結局どうなったかがわかりません。
つまり、自分のアドバイスが役に立ったか立たなかったか、そしてその人の演奏が結果どうなったかを知る術がありません。
唯一質問者が名乗り出てこちらにコンタクトを取ってくれない限り、わかりようがありません。その人が誰かもわからないのだから。
以上のように、匿名での質問を受けるのは労力が普段よりも遥かにかかることと、それに見合うフィードバックが得られないので私は一瞬でやめました。
何度も書きますが、質問、特にアドバイスは「その人がどれだけ知っていてどれだけできるか」を知る事が不可欠です。
なのでもし質問がある方は、このウェブサイトのコンタクトページから、もしくはTwitterやFacebookのメッセージ機能を使って質問してくださると嬉しいです。