「クロテイル?何それ?」

 

当時一般大学生だった私は吹奏楽のスコアを見ながらそう思った。

打楽器の譜面に「クロテイル」という初めて見る楽器の名前が出てきたからだ。

 

調べてみると別名「アンティークシンバル」とも言うらしい。

 

シンバルというからには大きいのか?

でも”アンティーク”と言うからには古いものしか出回っていないのか?

 

「アンティークシンバル」を調べてみたらこんな形の楽器が出てきた。

 

 

え、これフィンガーシンバルじゃない?

 

というか譜面のクロテイルって音程持ってるし。え、フィンガーシンバルを何枚も音程違うの集めるの?

 

と思いながら調べ続けると、クロテイルもといアンティークシンバルとはどうやら分厚い小さなシンバルをピアノの鍵盤のように並べた楽器らしい。しかも低いオクターブと高いオクターブの2種類あるらしい。

 

とは言いつつも結局クロテイルを使う曲を演奏することがないまま何年も経ち、「存在することはわかっているが実物を見たことがない」というまるで伝説の楽器のごとく頭の片隅にあった。

 

時は流れ2013年。

遂にクロテイルを使う機会がやってきた。

私が委嘱したブラスバンド伴奏の打楽器協奏曲「The Golden Apples of the Sun」に書かれていたのである。

 

別にクロテイルを使って欲しい、と言ったわけではなく、作曲家のロドニー・ニュートン氏が「たくさんの楽器を使うようにしたので、ショーみたいに演奏してほしい」という意図で積み込まれた大量の楽器の一つであった。

 

ちなみにその協奏曲のセッティング。

 

多すぎだよふざけんな

 

それはそうと、遂にこの曲でクロテイルを使うことになった。しかもLowオクターブとHiオクターブの2種類とも。

 

ちなみにクロテイルは大学の打楽器科でも所有していなかったので、大学の先生として在籍していたBBCフィルの首席打楽器奏者、ポール・パトリック氏が貸してくれた。無償で。

 

しかもこの協奏曲でチューンド・カウベルも10個以上使うので、それもスタンド込みでその先生からお借りした。無償で。

 

これに限らずこの先生は多数の楽器を個人で所有していたので、生徒が珍しい楽器を使用する時にはほぼ必ずこの先生から借りていた。無償で。

 

今思えば生徒はとんでもないことをさらっと先生に頼んでいたなぁ、と思う。

 

先生は穏やかで優しい方で、生徒が「この楽器を借りたい」と言うと二つ返事で承諾してくださっていた。

 

いつか「神は存在するか?」と質問されたら私は「ポール・パトリックという神様がいる」と答えようと思っている。

まぁ僧侶だから聞かれることないだろうけど。

 

 

話が逸れた。

 

 

そんな伝説の楽器だったクロテイルを遂に手に入れました。

しかもLowとHiの両方。

 

メーカーはセイビアンです。

Lowは旧ロゴ、Hiは新ロゴ。

ロゴ違いなこともあって安く買えた。

 

レンタルも可能になりました。

それぞれ1回800円。両オクターブで計1,600円となります。

 

 

蛇足ですが、前述の打楽器協奏曲は私のCDに入っております。クロテイルは第2楽章で使われております。

ご興味ある方はCDもぜひ聴いてください。

The Golden Apples of the Sun

 

最近ようやくCDの在庫が400枚を切りました。どうすんだこれ。