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ブラスバンドのティンパニのスタイルについて

ブラスバンドがイギリスで生まれて150年以上が経っています。

文化としての歴史は長いのですが、しかし「ブラスバンドの打楽器」の歴史はそんなに長くありません。
ブラスバンドは当初は金管がメインで、打楽器はオマケ扱い。

 

1960年代辺りにオーケストラ曲のブラスバンド編成への編曲がいくつも出されましたが(ヴェルディの「運命の力」など)、その目的は金管奏者のレベルアップのためで、打楽器は正直あっても無くても良いような譜面。

1970、80年代はそんな感じで時代は進み、今のようにブラスバンドで打楽器が多用されるようになったのは1990年代からだと思います。
有名なところではP.グレイアムの「シャイン・アズ・ザ・ライト」とか。

2000年代から打楽器奏者は4人いるのが前提となり、今に至ります。

 

という事は、ざっくり線引きすると1980年代以前の曲と1990年代以降の曲では打楽器の扱いが違うということになります。

それは、ただ単に打楽器の音の数が違うだけでは無く、出すべきサウンドそのものが違うということにもなると思っています。

 

例えば、

・エドワード・グレグソンが1971年に書いた「エッセイ」

・ピーター・グレイアムが2010年に書いた「巨人の肩に乗って」

上記の二つでは、ティンパニの出すべき音が全く違います。

オーケストラに(強引に)例えると

・「エッセイ」がベートーヴェン

・「巨人の肩に乗って」がショスタコーヴィッチ

くらい音が違います。

 

なので、編成は同じ28名の金管と数名の打楽器だとしても、時代によって出す音が変わってきます。

時代によるサウンドの違いはオーケストラでは当たり前としてありますが、ブラスバンドでも、特に打楽器はそろそろ時代分けが必要です。

ちなみに私は上記の通り1980年代と1990年代が境目だと思っています。

 

ちなみに「エッセイ」はこちら

「巨人の肩に乗って」はこちら